杉並区の動物・植物 杉並区自然環境調査報告書(第4次)より

第4次は、平成12年、13年度(第5次は、平成17、18年度)

鳥類

出現種類
10目21科38種類 データ
 2001年4月から2002年3月にわたる調査の結果,確認された種類数は,2000年度には9目20科39種類,2001年度には10目21科38種類であった。両年度の合計では,スズメ目が12科22種類,カモ目が1科6種類,コウノトリ目が1科5種類のほか,カイツブリ,ペリカン,タカ,ツル,ハト,ブッポウソウ,キツツキの各目が1科1種類出現した。 出現種類数は,第3次調査の39種類に比べると第4次はほとんど変化していないが,第1次調査(1985年度:40種類,1986年度:51種類)に比べると減少した。 今回新たに記録された種類は,2000年度に確認されたチュウサギである。
出現種類の渡りの区分
出現種類を渡りの型で区分すると,留鳥,冬鳥,夏鳥,旅鳥,不明に分けられる。
留鳥: 区内に周年生息する留鳥はカイツブリ,カルガモなど水辺性の種類,コゲラ,ヒヨドリなど樹林性の種類,市街地に多いスズメ,ハシブトガラスなどの種類で16種類が出現した。2000年度は16種類,2001年度は15種類であった。
夏鳥: 区内に夏の間だけ生息する夏鳥は,ツバメ1種類であった。
冬鳥: 区内に冬の間だけ生息する冬鳥は,マガモ,セグロセキレイなど水辺性の種類,シロハラ,ウグイスなど樹林性の種類,ジョウビタキ,アオジなど林縁・草地性の種類で合計16種類が出現した。2000年度,2001年度とも16種類であった。
旅鳥: 春と秋の渡りの途中に見られる種類としてはエゾビタキが確認された。このほかムシクイ類も出現している。
不明: 出現回数が少なく,渡りの区分の判定が困難な種類で,2000年度にチュウサギ,2001年度にチョウゲンボウ,2000,2001の両年度にカワウ,アオサギ,カワセミ,カシラダカの4種類が記録された。
調査ポイント(鳥類センサスルート)
ルート 概要
1 和泉2丁目の住宅地の中を通って、竜光寺、熊野神社の社寺林の間を通り抜ける。社寺林の他に和泉小学校などの植栽もあるが、環境の大部分は住宅地である。
2 浜田山の住宅地を通るが、ルート上の三井上高井戸グラウンドと新日鉄グラウンドには植栽の他に雑木林もあるなど緑地が多く、緑の多い住宅地となっている。
3 久我山1丁目の玉川上水沿いのルート。玉川上水は深いコンクリート護岸で水量も少ないので、上水沿いの植栽が環境の大半を占めている。
4 久我山2丁目の神田川沿いのルート。神田川は住宅地の間を流れており、樹木も植栽されているが、主要な環境要素となっているのは河川である。
5 大宮2丁目の善福寺川沿いのルート。和田堀公園の中、大宮八幡の北側といった緑地を通るので、ルートの大部分が善福寺川と川沿いの緑地(雑木林)となっている。
6 堀ノ内1丁目の住宅地と、みずほ銀行グラウンドや済美公園といった植栽の多い場所を通るルート。済美公園には雑木林もある。
7 宮前2丁目の住宅地だが、宮前公園、街路樹など植栽された場所が多いため、緑の多い住宅地となっている。
8 成田西4丁目の善福寺川緑地が中心となるルート。ルートの大部分は樹木が植栽されている善福寺川沿いを通る。
9 堀ノ内3丁目の住宅地の中を通るルート。途中で妙法寺などの社寺林や植栽が多い場所を通るが、多くは住宅地である。
10 和田3丁目の住宅地を通るルート。環境のほとんどが住宅地で、杉並第十小学校、高南中学校沿いを通るものの、植栽も少ない。
11 南荻窪2丁目の住宅地を通るルート。途中に天祖神社、神明中学校などの社寺林や植栽があるが、環境の大半は住宅地である。
12 松庵の住宅地を通り、途中で松庵公園、松庵小学校沿いを通るが、植栽はそれほど多くなく、ルート10同様に環境の大部分が住宅地となっている。
13 荻窪の住宅地を通り抜け、大田黒公園の雑木林沿いを通るルート。大田黒公園以外に植栽もあるが、住宅地が多い環境となっている。
14 阿佐谷南1丁目にある住宅地、青梅街道と街路樹の植栽されている中杉通りを通る。街路樹が多く植栽されている。
15 清水1丁目の住宅地を通り抜けるルート。若杉小学校などの植栽も多少あるが、住宅地の占める割合が多い環境である。
16 阿佐谷北の街路樹が植栽されている中杉通りを通るルート。ルート14と同じく、街路樹が多く植栽されている。
17 善福寺公園の中を通り抜けるルートのため、善福寺池と周囲の雑木林で構成される環境である。
18 上井草4丁目の住宅地を通るルート。井草八幡宮の雑木林の中を通るが、住宅地の中にも雑木林がある。その他ルート上には、畑地もある。
19 清水3丁目の住宅地と、その中を流れる妙正寺川に沿って進むルート。水源となる妙正寺池とその周囲の植栽もあるが、住宅地と河川が大半を占めている。
20 井草の住宅地を通るルート。住宅地の中に屋敷林や畑地(区民農園)が点在し、樹木の植栽されている井草森公園沿いを通る。

 



分布の特性 (ルート別の特性)
ルートno. 鳥類の特性
17 種類数および個体数とも最も多く出現しているルートで,サギ類やカモ類が多数見られるなど,他のルートと比べ特徴的なルートである。さらに,コゲラやシロハラなどの樹林性の鳥類も多数出現するなど,多様な環境を有している。
4 R-17に比べ種類数や個体数は少ないが,カルガモやコガモなどの水辺性の鳥が見られるのが特徴的である。
10,14,16 住宅地に設定されたルートであり,種類数や個体数も少なく,単純な構成を示す都市型の鳥類相を有するルートである。コゲラが出現していないのはこの3ルートのみである。
2,3,5,6,13 和田堀公園や大田黒公園など,雑木林などの樹林環境を有するルートで,種類数や個体数も多く,これらのルートではモズ,ジョウビタキ(林縁・草地)やシロハラ,エゾビタキ,シメ(林地)が確認されている。R-10,14,16の住宅地に比べ,良好な鳥類相を呈している。
1,7,8,9,11,12 15,18,19,20 学校,社寺林,緑の多い住宅地などがあり,住宅地と緑の多い公園の中間的な特徴を示している。
データ

 

注目種
ダイサギ
2000年4,11,12月,2001年1~4,11,12月,2002年1~3月に善福寺公園(ルート17)で記録された。出現状況から見て,杉並区では冬鳥に区分される。
チュウサギ
2001年4月と2001年3月に善福寺公園(ルート17)で記録された。チュウサギは今回が初認記録である。両回とも1羽が観察されただけであり,杉並区ではまれである。
オシドリ
2000年4,12月,2001年4,11月,2002年1月に善福寺公園(ルート17)で記録された。本種類は3次調査以降に記録されるようになった。杉並区では冬鳥として公園の池に渡来する。
チョウゲンボウ
2001年12月に浜田山(ルート2)で記録された。今回のほかに1次調査で記録がある。杉並区には稀に飛来する。
バン
2000年4~12月,2001年1~7,9~12月,2002年1~3月に善福寺公園(ルート17)で記録された。杉並区では留鳥で,善福寺公園では繁殖の記録もある。湖沼,河川,水田などのヨシやガマが生育する湿地などに生息し,区外では石神井公園など,ヨシなどが生えた池のある公園などで見られる。
ウグイス
阿佐谷北(ルート16)および妙正寺池(ルート19)を除いた18のルートで記録された。記録されたのは2000年4,11,12月,2001年1~4,12月,2002年1~3月である。杉並区には冬鳥として渡来し,区内に広く分布している。

昆虫類

出現種類
17目138科413種類 データ
 今回調査で確認された昆虫類は計17目138科413種類であった。確認種類数の多かった順に見ると,コウチュウ目99種類,ハチ目60種類,カメムシ目54種類,チョウ目(ガ類)54種類,チョウ目(チョウ類)39種類,トンボ目34種類,ハエ目31種類,バッタ目20種類で,ゴキブリ目,カマキリ目,ハサミムシ目,アミメカゲロウ目が各4種類,カゲロウ目,シロアリ目,ナナフシ目,チャタテムシ目,シラミ目,ノミ目が各1種類という内容であった。なお昆虫類の目,科,種名については第3次調査と同様に「日本野生生物目録-本邦産野生動植物の種の現状-(無脊椎動物編Ⅱ)」(環境庁自然保護局野生生物課編:1995)に従った。
カゲロウ目
今回調査で新たにモンカゲロウが確認された。
トンボ目
計34種類が確認され,今回は新たに13種類が確認された。これまで確認種類数は18から19種類であったのが,著しく増加した。
ゴキブリ目
今回新たにワモンゴキブリが確認された。それ以外では屋内に見られるクロゴキブリ,チャバネゴキブリや,時には屋内にも見られるがおおむね屋外性といえるヤマトゴキブリの3種類が確認されている。
カマキリ目
これまでと同様に,低木(かん木)上に生息するオオカマキリ,ハラビロカマキリと草地に生息するコカマキリの3種類に加えて,今回新たにチョウセンカマキリも確認された。
シロアリ目
住宅の材木を加害するヤマトシロアリのみが確認された。
バッタ目
計19種類が確認された。大半は草地に生息する種類であるが,屋内や樹林の林床にすむカマドウマ,庭木や街路樹などの樹上にすむカネタタキや帰化昆虫のアオマツムシなども見られた。また,今回新たにハネナシコロギス,ハタケノウマオイ,ヒメクサキリ,ショウリョウバッタモドキの4種類が確認された。
ナナフシ目
今回はナナフシモドキ1種類が確認された。本種類はやや暖地性であり雑木林などで見られる。
ハサミムシ目
ハマベハサミムシ,ヒゲジロハサミムシ,オオハサミムシの3種類と,今回調査で新たにキアシハサミムシが確認された。
シラミ目
衛生害虫であるヒトジラミが確認された。
カメムシ目
54種類が確認された。今回確認された種類はニイニイゼミ,ヒグラシ,アブラゼミ,ツクツクボウシ,ミンミンゼミ,南方性のクマゼミなどのセミ類や,池ではヒメアメンボ,アメンボが今回も確認された。このほか樹木害虫とされるアブラムシ類やカイガラムシ類,温室の害虫であるコナジラミ類,樹木に見られるハゴロモ類なども記録された。
アミメカゲロウ目
アリ地獄と呼ばれるウスバカゲロウの幼虫や,ホシウスバカゲロウが記録された。
コウチュウ目
計97種類が確認された。今回も関東北九州のみに分布するトウキョウヒメハンミョウが確認された。オサムシはアオオサムシが前回同様記録された。子供に人気のコクワガタ,飼育脱出個体が定着し自然繁殖しているカブトムシ,ふん虫のセンチコガネ,クロマルエンマコガネなども記録された。そのほか,衣類につくヒメマルカツオブシムシ,食品害虫のジンサンシバンムシなども記録された。
ハチ目
前回の40種類から今回は58種類に増加した。なかではクロヤマアリ,クロオオアリ,オオハリアリなど普通に見られる種類のアリ類が多かった。このほか,クロスズメバチ,キイロスズメバチ,コガタスズメバチなど人を刺すスズメバチの仲間もやや多かった。
ノミ目
ペットのイヌ,ネコに寄生するネコノミのみが確認された。
ハエ目
下水などに生息するホシチョウバエ,オオケチョウバエは今回記録されていない。そのほかオオハナアブ,ハナアブ,アシブトハナアブ,ホソヒラタアブ,マメヒラタアブ,シマハナアブなどの花に集まるハナアブ類が記録された。
チョウ目(蝶類)
チョウ類は39種類が記録され,都市化に強いといわれるアオスジアゲハ,ナミアゲハ,クロアゲハ,ヤマトシジミ,ルリシジミ,ツバメシジミなどが見られた。カラスアゲハ,モンキアゲハ,テングチョウ,ウラギンシジミ,ミドリヒョウモンは,個体数は少ないが,わずかながら自然発生している。
チョウ目(蛾類)
前回の184種類から55種類に減少した。これは前回実施したライトトラップを今回は実施しなかったためであると考えられる。造園木のチャ,ツバキなどにつくチャドクガ,ササにつくタケノホソクロバなど幼虫が人を刺す種類,また冬に越冬のためミノを作るクロツヤミノガ,大型種のオオミズアオ,そのほか樹林につくユウマダラエダシャクなどのシャクガ類などが記録された。

 

調査地点
地点 no. 
調査地点名
1 和田堀公園およびその周辺(大宮八幡を含む)
2 善福寺川緑地およびその周辺
3 善福寺公園およびその周辺
4 都立農芸高校およびその周辺
5 塚山公園およびその周辺
6 神田川高井戸駅~塚山公園間
7 東京女子大学善福寺キャンパス
8 三井不動産上高井戸グラウンドおよびその周辺
9 南荻窪4丁目域
10 永福3丁目域

 

杉並区における昆虫類の特性
今回の調査では17目138科413種類の昆虫類が記録されている。杉並区は23区内に位置しながら,多種類の昆虫類が生息している。このことは,杉並区がこれらの昆虫類にとって生息可能な多様な環境を有していることを示唆している。 杉並区には公園や屋敷林などの緑地が比較的多く残され,合わせて,区内に河川や公園の池などの水辺環境が分布し,このことが,樹林性のチョウ類や水辺を利用するトンボ類の生息を可能にしている。 その一方で,経年的に見れば,オオムラサキなどの雑木林を代表する昆虫類が見られなくなっているなど,生息環境の質の低下が懸念される。しかし,トンボ類など,近年になって新たに創出・回復された環境を利用し,再び記録されるようになった昆虫類がいる点なども特徴的である。 杉並区において昆虫類の生息地のコアとなっていると考えられるのが,主要な調査地点として選定した善福寺公園,塚山公園などパッチ状に残る緑地などの存在である。そこで,調査地点別にチョウ類およびトンボ類について,出現状況を調査地点別に集計し,調査地点の特徴等について整理した。
和田堀公園およびその周辺(大宮八幡を含む)
確認されたチョウ類は29種であり,調査地点中種類数が最も多く確認されている。確認された種類を見ても,樹林性のものから草地性のものまで見られ,チョウの生息環境としては良好な公園である。特に,アカシジミ,テングチョウ,ミズイロオナガシジミ,ゴマダラチョウ,サトキマダラヒカゲなどの雑木林に生息するチョウが確認されている。 確認されたトンボ類は14種類である。確認された種類を見ると,アジアイトトンボ,モノサシトンボ,アオイトトンボ,ハグロトンボ,クロスジギンヤンマなど,水辺に植物が繁茂した池などに見られるトンボ類が出現している。 トンボやチョウの出現状況から見て,ここの環境は,杉並区にあっては重要な生息地であるといえる。
善福寺川緑地およびその周辺
川沿いの公園であるが池がないためトンボ類が4種類と少ない。また,見られたトンボ類の種類はアキアカネ,ウスバキトンボなど,広域に分布する種類である。 チョウ類については19種と確認された種類数は多い。構成種を見ると,ツマキチョウ,ベニシジミ,ヤマトシジミなど草地等に見られる種類が多い。 出現したチョウ類やトンボ類から見て,利用を重視した都市公園的な性格の強い公園となっている。出現したチョウ類やトンボ類から見て,善福寺川緑地は,他の公園と比べ,これらの昆虫類にとって良好な生息環境とは言えない。
善福寺公園およびその周辺
この公園には上池及び下池の2つの池を有し,そのため確認されたトンボ類も17種と多い。特に,一般には丘陵地の湧き水がある緩やかな清流域に見られるグンバイトンボが善福寺公園で初認されたことは,特徴的であるが,導入された水草に付着していた可能性が考えられる。杉並区内ではトンボ類の生息地としては重要な場所である。 チョウ類は18種と確認された種類数は多い。ゴマダラチョウやサトキマダラヒカゲなどの樹林周辺で見られるチョウも確認されているが,ほとんどが,草地に見られる種類や広域に見られる種類である。
都立農芸高校およびその周辺
今回改修工事のため,調査が十分になされなかった。そのため確認されたチョウ類やトンボ類は少なく,この調査地点の特徴的な面は把握されなかった。
塚山公園およびその周辺
出現したチョウ類は20種類と多い。確認された種類を見ると,樹林性のものから草地性のものまで見られるなど,チョウにとって良好な環境を有した公園である。アカシジミ,テングチョウなどここの公園で確認されたチョウはすべて,和田堀公園でも確認されるなど,チョウにとって和田堀公園と類似した環境であることがうかがえる。 トンボ類は13種とチョウほど種類数は多くない。しかし,確認された種類を見ると,ハグロトンボ,クロスジギンヤンマ,ヤブヤンマなど水辺に植物が繁茂した池などに見られるトンボ類である。 塚山公園は,杉並区にあって,昆虫類の生息地として今後コアとなるような場所になっていく可能性がある。
神田川(高井戸駅~塚山公園)
河川沿いの緑地を反映し,チョウ類はナミアゲハ,アオスジアゲハ,クロアゲハ,キチョウ,ダイミョウセセリなど草地性で広域に分布する種類がほとんどである。 確認されたトンボ類を見ると,キイトトンボ,モノサシトンボ,ハグロトンボ,クロスジギンヤンマ,ヤブヤンマなど,都市河川としては意外と思われるようなトンボも出ている。杉並区が実施した河川の調査によると,ハグロトンボのヤゴが神田川で確認されている。神田川は今後トンボの生息場所として重要性を増してくることが予想される。
東京女子大学善福寺キャンパス
大学のキャンパスでありながら,チョウ類21種,トンボ類13種と昆虫の生息環境としては良好である。 チョウ類では,雑木林に生息するミズイロオナガシジミに加え,ゴマダラチョウ,サトキマダラヒカゲなどが見られることが特徴的である。 トンボ類では,ギンヤンマやクロスジギンヤンマなど水辺に植物が繁茂した池などに見られる種類が確認されている。
三井不動産上高井戸グランドおよびその周辺
確認されたチョウ類は19種類であり,調査地がグランドという性格のため,草地などでよく見かけるチョウが多い。 トンボ類は16種類である。確認された種類を見ると,アキアカネやシオカラトンボなどの広域で見られるトンボに加え,キイトトンボなど水域をあまり離れないトンボも確認されているのが特徴的である。
南荻窪4丁目域
トンボ類19種類,チョウ類25種類であり,他の調査地点と比べても確認された種類数は多い。また,クロコノマチョウやマルタンヤンマなど,ここでしか確認されていない種類がチョウとトンボ合わせて7種もいる。善福寺川が近くを流れているとはいえ,緑の多い住宅地という環境を考えると,ここが昆虫類のネットワークの中でどのような位置付けにあるか興味が持たれる地点である。 
永福3丁目域
調査地点が住宅地内の人家の庭であるため,トンボ類およびチョウ類とも確認された種類は少ない。見られた種類もアオスジアゲハやモンシロチョウなどの広域に分布する種類である。
主な注目種
調査で確認された種類のうち杉並区で注目する昆虫類を以下に示す。
オオイトトンボ
平地や丘陵地の挺水植物が繁茂した池沼や湿地の滞水,水田などで見られる。成虫は羽化水域に隣接した岸辺の植物群落に生息する。
キイトトンボ
平地や丘陵地の挺水植物がよく繁茂した池沼や湿地の滞水,水田,溝などで見られる。成虫は一般に羽化水域を離れない。
セスジイトトンボ
平地や丘陵地の挺水植物が繁茂する池沼や灌漑用水路,水郷の溝などで見られる。
アオイトトンボ
平地や低山地の挺水植物が繁茂する池沼や湿地の滞水など。寒冷な土地を好む。
オオアオイトトンボ
平地や山地の水ぎわに木立のある池沼や湿地で見られる。
グンバイトンボ
ゆるやかな清流。よどみに近いような部分に生息する。未熟個体は岸辺の草むらに生息する。
ハグロトンボ
水生生物が繁茂するゆるやかな流れに生息する。成虫は水辺からやや離れたうす暗い林地に移る。
ウチワヤンマ
平地や丘陵地の挺水植物や浮葉植物が繁茂する深くて大きな池沼や湖で見られる。成虫は羽化水域を遠く離れた丘の林に生息する。
オニヤンマ
平地,丘陵地,山地の小川や湧水,湿地,滞水などきわめて広範囲な水域で見られる。羽化水域を離れた山の斜面など開けた空間に集まる。
クロスジギンヤンマ
平地から低山地,低山地の挺水植物が繁茂する池沼に生息する。比較的木陰の多いややうす暗い小さめの水域を好む。
オオアオイトトンボ
平地や丘陵地の挺水植物や浮葉植物が繁茂する深くて大きな池沼や湖で見られる。成虫は羽化水域を遠く離れた丘の林に生息する。
マルタンヤンマ
平地や丘陵地の挺水植物が繁茂する池沼や湿沢地で見られる。幼虫は挺水植物の根ぎわや植物性沈積物の陰に潜む。
ヤブヤンマ
丘陵地や低山地の植物性沈積物が多い木陰の池沼や水たまりに生息する。藪下の水際の湿ったコケの間や土中に産卵する。
オオヤマトンボ
平地や丘陵地,低山地の解放的な挺水植物が繁茂する池沼に生息する。成虫は羽化水域からやや離れた林間の空き地で見られる。
コヤマトンボ
丘陵地や低山地を流れる河川の流域に生息する。成虫は羽化水域を離れた林間の空き地や道路上を飛び回る。
コノシメトンボ
丘陵地や低山地の挺水植物が繁茂する池沼や水田に生息する。成虫は羽化水域を離れて丘や里山の林に移る。
ナツアカネ
平地や丘陵地,低山地の挺水植物が繁茂する池沼や湿地,湿原,水田などに生息する。成虫は羽化水域からあまり遠くない木立で見られる。
ネキトンボ
丘陵地や低山地の森林に囲まれた挺水植物や浮葉植物の繁茂するやや深くて大きい池沼などに生息する。成虫は羽化水域をやや離れた林で見られる。
ハラビロトンボ
平地や丘陵地の挺水植物が繁茂する腐植栄養型沼沢地や湿地に生息する。成虫は羽化水域をあまり離れず,付近の草むらで見られる。
ミヤマアカネ
丘陵地や低山地の水田地帯や湿原のゆるやかな流れに生息する。成虫は羽化水域に比較的近い草むら,時には遠隔の林縁などで見られる。
リスアカネ
丘陵地や低山地の森林に囲まれた植物性沈積物のある池沼に生息する。成虫は羽化水域をやや離れた木立で見られる。
ジャコウアゲハ
食草があれば人家周辺でも見られる。食草はウマノスズクサ科。年3回発生。食草であるウマノスズクサの減少により,数が減少している。
モンキアゲハ
樹木の多い人家周辺で見られる。食樹はミカン科の植物。年2~3回発生。南方系のチョウで関東地方が分布の北限。
アカシジミ
コナラの優占する樹林に多く見られる。食樹はコナラ。年1回発生。
ミズイロオナガシジミ
コナラの優占する樹林に普通に見られる。食樹はコナラ。年1回発生。
クモガタヒョウモン
日当たりのよい草原や堤防などで見られる。食草はスミレ科の各種スミレ類。年1回発生。
テングチョウ
市街地では公園等の樹木の豊富な環境で見られる。食樹はエノキ。年1~2回発生。
ヒオドシチョウ
雑木林周辺などで見られる。食樹はハルニレ,ヤナギ類。 
クロコノマチョウ
食草はイネ科植物。年2~3回発生で,成虫越冬。南方系のチョウで分布を広げている。
サトキマダラヒカゲ
ササの生えた雑木林などに見られる。食草はタケ科。年2回発生。

 

出現種類
野生状態107科570種類(変種・品種含む) 植栽94科299種類  データ
分布の特徴
古くは青梅街道の杉並木が語源といわれる「杉並」だが、現在の杉並区は、市街化が広範囲に進んでいるため、山地や原野といった広く自然な形でのみどりはない。しかし、区の北西部にある善福寺池を中心とした善福寺公園や、東京女子大学、井草八幡宮などの地域、また、中央部を流れる善福寺川緑地や和田堀公園、大宮八幡宮周辺の地域、そして南西部の久我山、高井戸一帯は比較的みどりの多い地域となっている。これらのみどりは、主として公園、神社、寺院(社寺林)、グラウンドなどの施設、古くからの屋敷(屋敷林)、並木や河川などに見ることができる。

 

クモ類

出現種類
27科152種類 データ
これまでの4次にわたる調査で、区内には27科152種類のクモが生息していることが確認された。 2000・2001年度の調査で種類数が多かったのは、ヒメグモ科(27種類)、コガネグモ科(21種類)、ハエトリグモ科(18種類)、サラグモ科(16種類)、フクログモ科(14種類)、カニグモ科(14種類)でした。空中に網を張るクモや、葉や樹木の上を歩くクモなどが、比較的多く見られるようである。
調査地点を代表するクモ類
調査地点
確認された代表的なクモ類
善福寺公園 アサヒエビグモ、チャイロアサヒハエトリ、バラギヒメグモ、ヒメグモ、ギンメッキゴミグモ、ネコグモ
井草八幡 ムナボシヒメグモ、アサヒエビグモ、コシロカネグモ、オオヒメグモ、ウズグモ
観泉寺 アサヒエビグモ、ギンメッキゴミグモ、ネコグモ、ウロコアシナガグモ、チャイロアサヒハエトリ
今川2-15 ムナボシヒメグモ、アサヒエビグモ、ギンメッキゴミグモ、オオヒメグモ、ウラシマグモ、ワカバグモ、
妙正寺公園 アサヒエビグモ、ウロコアシナガグモ、ネコグモ、ギンメッキゴミグモ、バラギヒメグモ
荻窪八幡 ギンメッキゴミグモ、ムナボシヒメグモ、ヒメグモ、オオヒメグモ、イタチグモ
久我山稲荷 ウロコアシナガグモ、アサヒエビグモ、スソグロサラグモ、シモフリヤチグモ、ネコグモ、アリグモ
玉川上水 コクサグモ、チャイロアサヒハエトリ、ササグモ、アサヒエビグモ、ワキグロサツマノミダマシ
善福寺川緑地公園 アサヒエビグモ、ウロコアシナガグモ、オトヒメグモ、ギンメッキゴミグモ、ヒメグモ、
和田堀公園 アサヒエビグモ、ウロコアシナガグモ、ネコグモ、アリグモ、チャイロアサヒハエトリ
大宮八幡 アサヒエビグモ、アシブトヒメグモ、オオヒメグモ、チャイロアサヒハエトリ、ムナボシヒメグモ
堀ノ内2-40 チャイロアサヒハエトリ、アリグモ、アサヒエビグモ、ササグモ、ウロコアシナガグモ
自然観察の森 ヨツデゴミグモ、ウロコアシナガグモ、ムナボシヒメグモ、アサヒエビグモ、カグヤヒメグモ
済美山 ウロコアシナガグモ、アサヒエビグモ、オオヒメグモ、チャイロアサヒハエトリ、ヨツデゴミグモ
下高井戸八幡 チャイロアサヒハエトリ、アサヒエビグモ、オオヒメグモ、ササグモ、ダニグモ
塚山公園 アサヒエビグモ、チャイロアサヒハエトリ、ギンメッキゴミグモ、イタチグモ、ネコグモ
竜光寺 ウロコアシナガグモ、アサヒエビグモ、チャイロアサヒハエトリ、オオヒメグモ、アリグモ
永福1-27 アサヒエビグモ、ネコハグモ、ギンメッキゴミグモ、メスジロハエトリ、ササグモ、チャイロアサヒハエトリ
 
種類別出現状況
今回の調査で,調査地点の半数以上(9地点以上)で確認された種類は次の36種類である。
地点名 名称
18地点  アサヒエビグモ
17地点 ウロコアシナガグモ、ネコグモ、アリグモ、チャイロアサヒハエトリ
16地点 ネコハグモギンメッキゴミグモワカバグモ
15地点 オオヒメグモ、キンイロエビグモ
14地点 ヒメグモムナボシヒメグモジョロウグモコクサグモササグモ
13地点 シモフリヤチグモウラシマグモネコハエトリ
12地点 キシノウエトタテグモジグモ、スソグロサラグモ、ヨツデゴミグモハナグモニッポンオチバカニグモセマルトラフカニグモ
11地点 シモフリミジングモバラギヒメグモオトヒメグモ
10地点 カグヤヒメグモカニミジングモアシナガグモイタチグモアズチグモヒメカラスハエトリ
9地点 コデーニッツサラグモハリゲコモリグモ

 

上記に示したクモ類は,杉並区内において広域に分布するクモ類である。36種類のうち,前回調査と共通して出現した種類は20種類で,新たに加わった種類は16種類であった。
特性
今回の調査では杉並区において152種類のクモ類が記録された。このように,多種類のクモ類が生息できるということは,杉並区はそこにクモ類の餌となる昆虫類が存在するということ,また,さまざまなクモ類が利用する多層的な環境が存在することを示唆している。 今回クモ類が多く確認された調査地点は,都市公園などの面積の広い緑地や,小規模ではあるが人が出入りできないような屋敷林などの残存緑地であった。 杉並区にこのように多種類のクモ類が生息できるのは,多様な緑地が区内に点在していることに因るところが多い。また,1次調査から20年もの間,クモ類の種類数が大きく変わらずに生息してきた一因としては,このような環境が杉並区内に残されてきたことを示している。 杉並区の特徴的な点としては,23区内に位置しながら,都市公園や社寺林などの公共性の高い緑地に加えて,屋敷林など小規模な緑地が,クモ類の生息場所として継続して維持されつづけてきた点にあると考えられる。 しかし,今回の調査で,全体的な種類数に大きな変化は見られなかったが,個体数が1次調査の時と比べ,全調査地点(個体数調査を実施した6地点)で著しく減少していたことがわかった。このことは個々の生息場所の質的低下が起こっている可能性がある。このまま生息数の減少が進めば,将来的には種類数減少の顕在化が懸念される。

 

注目種
調査で確認された種類のうち杉並区で注目するクモを以下に示した。今回の調査では注目種として8科11種類が記録された。過去の報告書で注目種として挙げられていたオナガグモなど2種類が今回は記録されなかった。
マネキグモ
 針葉樹などに多く,木の枝や葉の間に条網(すじあみ)を張る。公園や社寺など7地点で記録された。
コデーニッツサラグモ
 樹林の林床などで生活し,木の根元に網をはる。杉並区では少ない。公園や社寺など9地点で記録された。
キザハシオニグモ
 河原や草原などの草間に水平円網を張る。前回報告書で確認地点の環境の改変により,今後の生息が危ぶまれていた。 しかし,4次調査においても同所で生息が確認された。
ナガコガネグモ
 草原や雑木林に生息し,水辺を好む。樹間や草間に垂直円網を張る。善福寺公園及び善福寺川緑地で記録された。
コガタコガネグモ
 林の周辺や山道などの樹間に垂直円網を張る。今回は自然観察の森で記録された。
コハナグモ
 草上や花上を徘徊する。善福寺公園及び塚山公園で記録された。
アマギエビスグモ
 山地の枝上や草間などを徘徊する。和田堀公園で記録された。

 

植物

杉並区の植物特性
1.減少する緑被率
緑被率は,1963年の36.96%から,その29年後の1992年には18.97%まで約半減し,その5年後の1997年には17.59%とさらに減少している。
2.善福寺川周辺(北西部・南東部)と神田川周辺(南西部)に偏在する緑地
杉並区の緑地の拠点となっているのは,河川や池,既存の樹林,水生植物群落,植栽地など多様な環境を有する比較的面積の大きい公園(善福寺公園,和田堀公園,善福寺川緑地)である。 善福寺公園のある区の北西部の善福寺池周辺には,そのほか,東京女子大学内の雑木林,井草八幡の社寺林などがある。和田堀公園および善福寺川緑地のある区の南東部の善福寺川沿いには,そのほか,済美山の雑木林,大宮八幡の社寺林などがある。また,区の南西部の神田川周辺にも,施設内や塚山公園に残存する雑木林や玉川上水沿いの斜面林などがある。 杉並区の緑地はこれらの場所に偏在しており,その他の場所は概ね市街化され,小規模な樹林等が点在する程度である。
3.小面積化・孤立化した樹林
杉並区に残存する樹林は,おもに2.で述べた善福寺川周辺(北西部・南東部)と神田川周辺(南西部)に分布するが,いずれも小面積で孤立している。また,都市域にあるため樹林の外縁部(林縁)は舗装道路となっていたり,舗装されていない場合も踏み込みや刈り取りなどの人為的攪乱が高いために,通常は林縁に発達する林縁群落をほとんど伴わない。
4.河川・鉄道沿いに分布する人為的攪乱の高い草地
杉並区にみられる草地は,公園や施設内の芝生を除けば,河川や鉄道に沿って線状にみられる程度であり総面積は少ない。河川や鉄道に沿った草地は,概ね過去に造成の影響を受けており,また人の踏み込みや刈り取りなどの人為的攪乱を受け続けているために,出現種類数は少なく,またこのような環境にいち早く侵入する帰化植物の割合が高い。しかし,比較的攪乱の少ない草原に生育するヤブカンゾウなどもみられる。
5.都市に生育する種類が主体だが良好な自然環境に生育する種類も残存する植物相
区内に広く分布する植物は,イヌタデ,ツユクサ,オオバコ,ハルジオン,ウラジロチチコグサなど,都市に多い環境である路傍,路上,空き地,人家の庭などに生育する植物である。しかし,樹林性のマユミ,リョウブ,ナツハゼ,攪乱の少ない草原に生育するアキカラマツ,クララ,ワラビ,オカトラノオ,ヤブカンゾウ,湿性植物のアカメヤナギ,ガマ,ママコノシリヌグイなど,比較的良好な自然が残存する環境にみられる植物も,種類数,個体数は少ないながらも生育している。
6.都市部としては平均的な帰化率
帰化植物は,攪乱された立地に侵入するため,出現種に占める帰化植物の割合である帰化率は,立地の攪乱度合を指標することになる。植栽種を除いた総出現種に対して帰化率を求めると,今回調査における帰化率は18.9%であり,都市部としては平均的な帰化率である。第1次の18.9%(109種類),第2次の19.7%(127種類),第3次の19.2%(120種類)と比較し大きな変化はない。
7.多種におよぶ植栽種
今回調査における確認種のうち,植栽種は299種類ある。植栽種の多さは,公園など造成された場所が緑地の主体となっている都市部の一般的特性といえる。

 

調査地点
地点 no. 
地点名 
調査地点と調査の概要 
1 東京女子大 敷地内には、林床が管理されたクヌギ林やシラカシ・ケヤキ林が残存し、随所にタチツボスミレ、タイアザミ、カントウヨウナメなどの在来草本類が生育する。建物の増改築の林地、草地が減少した。大型の樹木やモウソウチクなどを伐採したため、空地に新しく帰化種が増えた。
2 善福寺公園上池 都立公園のためたえず除草など手入れがされているので、草本類については強度に刈られ種の固定が不可能な状態のものも見られる。下草は減ってきたが、日陰に強い種類は個体数が増えた。
3 善福寺公園下池 木本類がよく育つ中で、土の乾燥からかトチノキが枯れてきている。帰化植物の増加が目立った。
4 井草八幡 参道の両側の生垣はよく除草され、本殿裏の林を中心に調査。今回は幼稚園の調査はしておらず、種数は減少した。
5 荻窪八幡 境内裏の林は安定していて、1985年依頼変化はない。庭などよく管理され、草木が侵入する余地はない。
6 観泉寺 杉林、竹林などが伐採された。樹林内はよく手入れされており、下草は少なくホウチャクソウ、フジカンゾウ、イチリンソウなど消滅した。全体によく管理された状態であった。本堂裏、前庭の調査は今回していない。
7 N邸 敷地全体によく樹木や草木類がよく育っていたが、広い駐車場が整備され、モウソウチク林がなくなるとともに樹林がよく管理され、草木は減少した。
8 K邸 屋敷全体の自然が維持され、高木類はよく枝を伸ばし林床には絶えず下草が育つように手入れされている。畑の周囲には草本がよく生育している。
9 A邸 杉並に現存するものとしては規模の大きいシラカシやケヤキを中心とした屋敷林。樹林の樹木が成長し、下草は少ない。
10 玉川上水 玉川上水に沿って、ムクノキ、エノキと植栽されたサクラ類などからなる帯状の樹林。歩道沿いのフェンス内はよく保護され、武蔵野の自然にある種類はよく残っているが、目立つ花は少なくなった。樹木の下はよく除草されている。帰化種のアレチウリなどが目立ってきた。
11 大蔵省 野球場、テニスココートはよく管理された芝生である。空地のネジバナ、シオデ、ハナヤスリなどは確認できなかった。斜面はごみ捨て場となり植物は単純化しカタクリの保護地は下草が多くなってきている。
12 浴風園 正面の自然状態の雑木林は、建物ができたため消失した。新しく大きな建物が2棟建設中で、樹林が減少したため、科、種類とも減少した。
13 三井グラウンド南側 グラウンドとしてよく手入れされ、遊歩道が広くなるなど整備が進んだため、科、種数とも減少したが、宿根性のものは目立ってきた。キンランはよく保護されている。児童遊園地は調査できず。
14 三井グラウンド西側 コナラ、クヌギ、アカシデなどからなる樹林。林床は希少な草本類や雑木林の主要構成主の実生を刈り残し、アオキ、ヤツデなどの刈り取りが実施されている。林内の一部が駐車場となっている。
15 善福寺川緑地1 善福寺川に沿った帯状の緑地の神通橋から成田上橋まで。樹木は管理されており、多くの人が入るので裸地化したところが多い。草地は草刈りがよく行われている。
16 善福寺川緑地2 善福寺川に沿った帯状の緑地の成田下橋から大成橋まで。樹木は管理されており、多くの人が絶えず入るので、林床は裸地化している。草地は草刈りがよく行われている。
17 和田堀公園 高木類の下は、日光が十分当たらないことと、絶えず踏み固められているので、裸地化している。草地は宿根性のものが目立つが、種類は単純化してきている。
18 大宮八幡 参道の両側、境内全体によく管理され、林の下は裸地化している。神社の裏は調査していない。参道と善福寺川の間の調査を行った。
19 わんぱく広場 公園として整備されてきたので、在来種は少なくなり帰化種が増えてきた。ヤマモモ、トウカエデなどの植栽が多い。
20 済美山 雑木林の残っているところではあるが、林床はよく草が刈られていて下草は少なくなった。西側の林床は発達している。林内のヤマユリなどは消えてしまった。
21 富士銀行グラウンド 敷地全体が自然環境に配慮した保護がなされている。西側の一角の樹林内は自然のままでアズマネザサが全面に広がり、つる植物も繁茂しており、手入れはされていない。
22 真盛寺 本殿の改築、古裡の横の建材などが改築され、樹木は強い剪定を受け、新たに植栽種も増加した。墓地が増えたので草地は減少した。
23 妙法寺 ケヤキを中心とし、シラカシ、スダジイ、イチョウなども混ざる寺社林。林床にはアジサイ、ジンチョウゲ、ツツジ、チャノキなどの低木類が植栽され、人の立ち入りがある。
24 和田堀公園観察の森 高木類はよく育っていて、林床は暗く下草は少ない。ソデ群落はよく下刈りされ、つる植物が除かれたので、草木類の種類が増加してきた。
25 塚山公園 高木類がよく育ってきたので、林床は日陰に強い植物が、科・種数ともに増えてきている。
26 神田川2 護岸は両面コンクリート二面張りで、川の中にはタマミクリ、カナダモ、クロモなど確認できる地点がある。大蔵グラウンド側のミズキの大木、クズ、イタドリなどが目立ち、サクラ並木がよく育ってきた地点もある。遊歩道は舗装された中に、ナガミヒナゲシ、アケリカフウロ、ハルジオン、チチコグサモドキなどの帰化植物が増加してきた。
27 神田川3
28 神田川4
29 神田川5
30 神田川6
31 善福寺川1 上流の護岸は三面コンクリートで水量も少ない。遊歩道も舗装され、そのわずかな隙間から植物は細々と生育している。中流では水量も多く、流れの幅も広がって、護岸も斜面となり、ナガミヒナゲシ、ヒメツルシバ、ユウゲショウなどが増加してきた。斜面は絶えず除草されているので、種数は少なくなった。イネ科カヤツリグサ科は確認できないものが多かった。環七から合流点までは遊歩道が道路となり、全く植物は生育していない。護岸の植物のみを調べた。
32 善福寺川2
33 善福寺川3 
34 善福寺川4
35 善福寺川5
36 妙正寺川 たえず除草が行われているので、正確な調査ができないところであるが、その中で帰化植物が増加した。
37 井の頭線 線路の柵の外や橋の上からの調査であるが、斜面は草木の繁った地点もサツキ類の植栽が行われ、自生植物の育つ場所は狭められた。科数・種数ともに増えた中で、ナガミノヒナゲシ、セイタカアワダチソウ、チチコグサモドキ、ハルジオンなどの帰化植物や逸出植物が増加した。
38 M邸 屋敷林の周囲をフェンスで囲ってあるため、周囲の下草はよく育っている。林内は暗く下草が少ない。周囲のフェンスにはカナムグラ、ノハカタカラクサが増えている。